大腸がんになる方は我が国では年間約15万人(男性8万5千人、女性6万5千人)といわれています。がんによる死亡数も男性では肺がん、胃がんについで第3位、女性では第1位となっています。
大腸がんの手術はお腹を大きく切開して行う「開腹手術」と、腹腔鏡と呼ばれる内視鏡をお腹の中に挿入して行う「腹腔鏡下手術」があります。腹腔鏡下大腸切除術は、この研究会の創設者の一人であり現在顧問である渡邊昌彦先生によって1992年に我が国で初めて行われました。腹腔鏡下手術は、傷が小さく痛みも少ないために術後の回復が非常に早く、患者さんに優しい手術として様々な手術に応用され、1990年代に急速に広がりました。一方でこの手術には、直接臓器を手で触れることができず、鉗子と呼ばれる細長い金属製の器械で操作を行わなければならないことやモニター越しでの操作になることなど、それまでの開腹手術と違って様々な制約があります。そのため腹腔鏡下手術のメリットを十分患者さんに還元するためには、この手術の特徴をきちんと理解し、しっかりとした技術を身につけることが大変重要です。一般社団法人腹腔鏡下大腸切除研究会では、患者さんに優しい腹腔鏡下手術が日本のどこにいても受けることができるように、安全な普及を目指してこれまで活動を続けております。またこの手術のメリットを科学的に証明し、患者さんに自信を持ってお薦めできるように多くの臨床研究も行っております。
令和4年4月吉日
一般社団法人 腹腔鏡下大腸切除研究会
代表理事 内藤 剛